☆西浜さんのプロフィール☆
1944年生。1989年12月受洗。
2005年3月琉球大学大学院修士課程修了。
2009年3月大阪市立大学大学院博士課程単位取得退学。
現在、大阪市大人権問題研究センター会員ならびに共生社会研究会所属。
日本キリスト教団大阪教区沖縄交流・連帯委員会委員長


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第88 号(2011年1月)

◆ 目次 ◆

沖縄の自己決定権と先住民族規定をめぐって

1.琉球・沖縄人は先住民族か。

 
2.琉球・沖縄人は日本国民であっても、日本人ではない。

 

3.琉球・沖縄人の先住民族としての自己認識は、さほど高くない。

 
4.沖縄の自己決定権の確立をめざして

 


1.琉球・沖縄人は先住民族か。

 2010年は、1年間を通して沖縄の自己決定権が話題となりました。そして、2010年3月には人種差別撤廃 委員会より「沖縄に人々が被っている根深い差別に懸念を表明する」との勧告が出され、先住民族規定が論議の俎上 に上るようになりました。そこで、「沖縄の自己決定権と先住民族規定をめぐって」考えてみたいと思います。沖縄 の自己決定権とは、例えば沖縄に基地があってよいかどうかは沖縄の人が決める権利を有するということです。


2010年11月14日 憲法を生かす加古川・稲美・播磨の会で講演する筆者

 さて、人種差別撤廃条約は1965年に国連で採択されましたが、日本が批准したのは1996年です。2001 年、人種差別撤廃委員会(18カ国から集まった人権問題に携わる専門家で構成。条約に批准した国が定期的に提出 する報告書を審査し、必要に応じて勧告措置を取る。)は、日本政府に対し在日コリアン、部落民、琉球・沖縄人の 人口構成比などの報告を求める勧告をおこないました。更に勧告では「沖縄の住民は、特定の民族的集団として認識 されることを求めており、また、現在の島の状況が沖縄の住民に対する差別的行為につながっていると主張している」 とも述べています。
 2005年、“現代的形態の人種主義・人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に関する国連特別報告者”で あるドゥドゥ・ディエンが来日し、2006年に年次報告書を提出しました。そこに「14世紀から沖縄の人々によ り維持されてきた『琉球王国』は日本政府に征服され、併合された。/沖縄の人々が現在耐え忍んでいる最も深刻な 差別は…日本政府が『公益』の名のもとに米軍基地の存在を正当化していることである。その結果、沖縄の人々のな かには、恒常的な人権侵害に終止符を打つために沖縄が独立領になることを望む者もいる」と記しました。ディエン はこの報告書で、日本政府が琉球王国を征服、併合したとし、米軍基地の存在が沖縄の人々に対する最も深刻な差別 だと認定しています。
 一方、国際人権規約は世界人権宣言の内容を基礎としてこれを条約化したもので、社会権規約(経済的、社会的お よび文化的権利に関する国際規約。国際人権A規約とよぶこともある)と自由権規約(市民的および政治的権利に関 する国際規約。国際人権B規約とよぶこともある)が1966年に国連で採択され、1976年に発効しました(日 本は1979年に批准)。自由権規約委員会は、自由権規約の実施状況を審査し必要に応じて勧告措置をおこないま すが、2008年、同委員会は日本政府に対して「締約国(=日本)は国内法によってアイヌの人々及び琉球・沖縄 の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の 権利を認めるべきである。締約国はアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々の児童が彼らの言語で、あるいは彼らの言語 及び文化について教育を受ける適切な機会を提供し、通常の教育課程にアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々の文化及 び歴史を含めるべきである」と勧告しました。人種差別・マイノリティーの権利として「琉球民族」が明記されるの は初めてで、これにより後述する「先住民族の権利に関する国連宣言」が琉球民族にも適用されることになりました。


2010年11月19日 大江・岩波沖縄戦裁判学習会で講演する謝花直美さん

 次に、琉球・沖縄人と先住民族について考えてみます。ここで先住民と先住民族の用語について、各民族を個別に 指す場合は先住民族、それら先住民族に属する人びとを集団として総称する場合は先住民という語を用いることとし ます。
 現在、先住民族の保護に関してもっとも一般的な条約の一つに、1989年に採択された国際労働機関(ILO) 第169号条約(独立国における先住民族および種族民族に関する条約)があります。この条約では、
 「(a)独立国における種族民族であって、その社会的、文化的及び経済的な条件が、その国民社会の他の部分と は異なり、かつその地位が全部又は一部それ自身の慣習もしくは伝統、又は特別の法律もしくは規定によって規制さ れている者。
 (b)独立国における民族であって、征服もしくは植民地化又は現在の国境が画定されたときに、その国又は国の 属する地域に居住していた住民の子孫であるために先住民族とみなされ、かつ、法律上の地位のいかんを問わず、自 己の社会的、経済的、文化的及び政治的制度の一部又は全部を保持している者」(第一条1項)
 を適用の対象とするとした上で、個人が先住民であるかどうかの最終的な判断は「先住民族又は種族民としての自 己認識」(第一条2項)に基づくとされています。


同学習会でまとめをする筆者

 また、国連は1993年を国際先住民年と定め(1994年から2004年までが「世界の先住民の国際10年」 です)、2007年に「先住民族の権利に関する国連宣言」を採択しました。  「宣言」は前文で、国民的出自や民族的、文化的差異に基づき民族や個人の優越を説く教義、政策、慣行は人種差 別主義であり、科学的に誤り、法的に無効、道義的に非難に値し、社会的に不正義であると謳っています。また、先 住民族は植民地化と土地、領域の奪取の結果、歴史的不正義に苦しんだと述べ、先住民族は自らの政治的、経済的、 社会的構造と文化、精神的伝統、歴史、哲学に基づく生得の権利、特に土地、領域、資源に関する権利を尊重すべき であると述べています。
 そして本文で、先住民族は自己決定(self−determine)の権利を有し、生存・安全に対する権利、 文化・言語・宗教・歴史などアイデンティティーに対する権利、経済に対する特別措置、土地や領域に対する権利、 軍事活動の禁止、文化的遺産に対する知的財産権などが認められ、それらの保障に対する国家の責任が記されていま す。
 この「宣言」によって、琉球・沖縄人は他の日本人と違うことを理由に差別されず、違いが尊重されるべきであっ て、日本による沖縄への同化政策が否定されます。
 国連の推計では、世界中に現存する先住民族は、言語や文化的差異、あるいは地理的分離によって少なくとも5, 000のグループがあり、その人口は約3億人、70ヶ国以上の国々に住んでいるとされています。
 それ故、近代国家が国民形成の名のもとに野蛮・未開と見なした民族の土地を一方的に奪ってこれを併合し、その 民族の存在や文化を受け入れることなく、さまざまな形の同化主義を手段としてその集団を植民地支配した結果生じ た人々が先住民族と呼ばれうる民族的集団なのです。
 別の言い方をすれば、先住民族とは、独自の文化や言語を持ち歴史を育んできた民族(=琉球民族)が近代国家( =明治政府)によって一方的に領土を征服され(=1879年 琉球処分)、言語の禁止(=方言札!)を始めとす る同化政策によって一方的に国民として統合され(=皇民化政策、施政権返還)、構造的な差別(=米軍基地の集中 )が継続している民族のことですから、琉球民族は紛れもなく先住民族だと定義づけることができます。
 先住民族と言う時、日本人の多くはネイティブアメリカン(インディアンと呼ばれる人々)とか、南米のインディ オの人たちを思い描きますが、どの民族が先に住んでいたのかという「先住性(indigenousness)」は、先住民族の 資格要件の一つにすぎません。ここでは先住か、後住か、ということは問題ではなく、植民地支配や同化政策が行わ れていたか、が重要なのです。


2.琉球・沖縄人は日本国民であっても、日本人ではない。

 ところで、普天間基地撤去、辺野古新基地建設に反対する取り組みの中などで、「県内移設は沖縄差別だ」とか「国土面 積0.6%の沖縄に在日米軍占有基地の74%が集中しているのは差別だ」との言説を頻繁に耳にし、使ってもきました。 その限りにおいてこの表現は間違ってはいません。しかし、この言説は現象を述べているに過ぎず、なぜ日本(政府)は沖 縄県内移設に拘泥するのか、なぜ沖縄に基地を集中させるのかという原因を解明したことにはなっていません。
 結論を先取りして言えば、そうなる理由は、沖縄は日本ではない、琉球・沖縄人は日本人ではないからです。日本人が琉 球・沖縄人であることを理由に差別しているからです。
 沖縄は日本ではないから、去る沖縄戦で本土防衛のために沖縄を犠牲にすることができたのだと、大山朝常・元コザ市長 と大田昌秀・元知事は明らかにしています。すなわち、大山は「戦争中、日本軍はその守備範囲を北緯三〇度ではっきり分 けていました。それより北を『皇土』と呼び、『本土防衛軍』と呼んでいました。一方、南に駐留する軍は『南西諸島防衛 軍』と呼ばれていたのです。…日本でないと区別していたからこそ、何ら心を痛めることなく皇土防衛のため沖縄を犠牲に できたのです」(『沖縄独立宣言』P182)と述べ、大田は「沖縄戦の死闘が始まったばかりのとき、阿南惟幾陸軍大臣 が『決戦訓』なるものを発し、『皇軍将兵は、皇土を死守すべし。皇土は、天皇在しまし、心霊鎮まり給うの地なり』と述 べている。すなわち戦時中、北緯三〇度以北の防衛担当部隊を本土防衛軍と称し、三〇度以南を南西諸島防衛軍(沖縄守備 隊)と明確に区別していました」(『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞』P149−50)と語っています。また、大山は琉球・ 沖縄人として日本人から差別を受けていたことを認識しています。「本土の日本人があからさまではなくとも、現在に至る までどこかで沖縄人を差別する意識をもちつづけてきたことも、沖縄が日本ではないという考え方が根っこにあるからとい えます」(同前書 P182)と。そして、続けて「沖縄は日本ではない。沖縄人は日本人でない―日米双方が暗黙のうち に了解していたこの認識に対し、そこから最も目をそむけていたのがほかならぬ私たち沖縄人です。ひたすら日本を祖国と 仰ぎ見て、日本人であろうとして耐えつづけたことが、逆に沖縄戦をはじめとする多くの悲劇を招いてきたのではないでし ょうか」(同前書 P182―3)と自戒します。


2010年11月23日 琉球大学同窓会関西支部親睦昼食会で和歌山の加太へ行く

 さて、1965年、祖国復帰運動の中で中高校生たちが「私達は日本人です」とのプラカードを掲げて那覇市街を行進し ている一枚の写真があります(『米軍政下の沖縄 アメリカ世の記憶』P39―40 表紙にも使われています)。祖国復 帰運動は、米軍政からの解放をヤマトゥへの復帰に求めた運動でしたが、ここで異民族支配を打ち破るために対置した理念 は、自分たちは日本人であるというもので、琉球・沖縄人であるという理念ではなかったのです。
 2007年に採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」は、琉球・沖縄人が他の日本人と違うことを理由に差別さ れず、違いが尊重されるべきだとしていますが、祖国復帰運動の中では、琉球・沖縄人として私たちを差別するなと主張し たのではなく、日本人ですから差別しないでください、と主張していたのです。
 先に、個人が先住民であるかどうかの最終的な判断は「先住民族又は種族民としての自己認識」(ILO第169号条約 第一条2項)に基づくと述べられていると書きましたが、この時、1960年代には先住民族としての自己認識はなされて いなかったのです。


3.琉球・沖縄人の先住民族としての自己認識は、さほど高くな い。

 調査が実施されたのは2005年とやや古いのですが、林 泉忠(リム チュアンティオン)・琉球大学准教授がおこなった 「沖縄住民のアイデンティティー調査2005」があります。これは2005年11月、18歳以上の沖縄県内の住民を対象 に実施されたもので、電話アンケートで1,029個のサンプルを得ました。この結果が、2006年1月1日、4日、5日 、9日、10日の『沖縄タイムス』に掲載されました(1日付が総論で、4日付〜10日付は「辺境東アジア 躍動するアイ デンティティー」の4回シリーズとなっています)。
 「ご自身のことを沖縄人だと思いますか、それとも日本人だと思いますか?または、沖縄人でも日本人でもあると思います か?」との設問に対する回答は、

沖縄人

 40.6

日本人

 21.3

沖縄人で日本人

 36.5

その他

  1.1

分からない/難しい

  0.5

(表1)

となっています。
 「もしもスポーツの試合で、沖縄(香港)チームと日本(中国)チームと対戦する場合に、どちらのチームを応援します か?」との設問に対する回答を沖縄と香港で比較すると、

 

沖 縄
香 港

地元チームを応援する

 93.7

 57.3

国のチームを応援する

  1.3

 17.7

どちらも応援する

  2.0

 19.4

どちらも応援しない

  0.2

  1.9

その他

  0.8

  3.7

分からない/難しい

  2.0

(表2)

となっています。
 「沖縄独立」の是非をめぐる沖縄住民の見方については、日本政府が認めた場合と日本政府が認めなかった場合の2つの 設問があります。

 

日本政府が認めた場合
認めなかった場合

独立すべき

 24.9

 20.5

独立すべきではない

 58.7

 57.4

沖縄住民が決めるべき

  2.8

  4.9

その他

  2.5

  4.1

分からない/難しい

 11.1

 13.1

(表3)

結果は(表 3)の通りです。
 そして、「独立すべき」、「独立すべきではない」で最も重視された理由は、

最も重視する理由
独立すべき
すべきではない

沖縄人と日本人は同じ民族(ではない)(だ)から

  8.9

 25.1

沖縄は日本の領土(ではない)(だ)から

  8.9

 10.6

沖縄の政治的・経済的・社会的状況が日本本土と同じ(でない)(だ)から

 41.7

 23.6

沖縄住民は自立する能力をもって(いる)(いない)から

 20.6

 27.8

大多数の沖縄住民は沖縄独立を望んで(いる)(いない)から

 13.0

  9.1

その他の理由

  3.6

  2.7

分からない/難しい

  3.2

  1.2

(表4)

となっています。


2010年11月27日 大阪教区沖縄交流・連帯委員会「ひめゆり 平和への祈り展」ツアー。 リバティおおさか前で記念写真

 この調査から次のようなことが分かります。
 沖縄住民で「沖縄人」にこだわる人(40.6%)は「日本人」(21.3%)の約2倍だが、36.5%の人は複合的 帰属意識(「沖縄人で日本人」)を有しています。これは1972年の施政権返還後、急速にヤマトゥとの一体化が進んだ からですが、しかしながら(表 4)にある「沖縄の政治的・経済的・社会的状況が日本本土と同じでない」との考えも根 付いています。しかし、この「沖縄人」は先住民族としての琉球・沖縄人を意味するとは限りません。
 地元への愛着度は93.7%と非常に高い。香港の57.3%と比べても群を抜いています。国もしくは中央政府(中国 、日本)への愛着度は香港の17.7%に対して、沖縄は1.3%に過ぎません。沖縄は12世紀のグスク時代から独自の 国家造りに乗り出し、その後三山時代を経て、琉球統一王国が1429年に建国されました。1609年から薩摩の支配を 受けますが1879年まで独自の国家が続きました。450年間に渡って琉球独自の歴史と文化が蓄積された記憶が、強い 土着アイデンティティーの維持となっているわけです。
 次に、「独立すべきではない」理由として「沖縄は日本の領土だから」を重視したのはわずか1割程度にとどまっていま す。沖縄はもともと「独立国」で、その前身の琉球王国を日本の領土と見ることに疑問を持っています。「独立」に反対す る理由で最も多いのは「自立する能力をもっていない」です。「経済自立」は「領土」のような問題よりも現実問題ですか ら、「経済自立」が沖縄社会で確立されれば、沖縄のナショナル・アイデンティティーは流動化することが考えられるでし ょう。
 先住民族としての琉球・沖縄人から考察すると、独立すべき理由として「沖縄人と日本人は同じ民族ではないから」は8 .9%なのに対し、独立すべきではない理由として「沖縄人と日本人は同じ民族だから」は25.1%を占めています。だ から、先住民族としてのアイデンティティーの確立は今後の課題としてあるでしょう。とはいえ、独立すべき理由として「 沖縄の政治的・経済的・社会的状況が日本本土と同じでないから」が、トップの41.7%を占めているのに対し、独立す べきではない理由として「沖縄の政治的・経済的・社会的状況が日本本土と同じだから」を挙げているのは23.6%と、 ほとんどその半分であることは、先住民族としてのアイデンティティーの確立に明るい展望を抱かせるものです。
 この調査は2005年11月に実施されたものであり、政権交代以前です。その後の民主党・鳩山首相(当時)の辺野古 回帰によって一挙に沖縄差別認識が広がり深まりましたが、そのことから現時点では、「独立すべき」との比率は高くなっ ていると推察されます。


4.沖縄の自己決定権の確立をめざして

 2010年3月、人種差別撤廃委員会は日本に対して次のような勧告を出しました。
 「委員会は、沖縄の独自性について当然払うべき認識に関する締約国(=日本)の態度を遺憾に思うとともに、沖縄の人 々が被っている根強い差別に懸念を表明する。沖縄における不均衡な軍事基地の集中が住民の経済的、社会的、文化的権利 の享受を妨げているとする、人種主義・人種差別に関する特別報告者(ディエンのこと)の分析をさらに繰り返し強調する 。委員会は締約国に対し、沖縄の人びとが被っている差別を監視し、彼らの権利を推進し、適切な保護措置・保護政策を確 立することを目的に、沖縄の人びととの代表と幅広い協議を行うよう奨励する」と。
 勧告は、基地の集中は歴史的・文化的な背景も含めて差別の結果であり、基地を県内に移設することは差別を温存するこ とを意味するといっています。また、ここで勧告している「沖縄の人びと」は複数形であって、ひとり知事とだけ協議をす ればよいというものではなく、各界の「代表と幅広い協議を行う」ことを求めています。


2010年12月5日 辺野古テント村・村長 当山栄さんが亡くなる。

 ところで、自由権規約委員会や人種差別撤廃委員会に対して、長期にわたって継続的に働きかけをおこなってきた市民団 体に「琉球弧の先住民族会(AIPR=The Association of the Indigenous Peo ples in the Ryukyus)」があります。会は1999年2月に設立され、2007年12月にNPO法 人となりました。法人の目的を「国際連合憲章と世界人権宣言の精神に従い、国連の各種人権保障機構への参加及び報告、 琉球・沖縄民族の各種権利の回復及び保障に関する情報収集と研究及び関連する各国の先住民族団体、国際機関、市民団体 との協力、琉球諸島の環境保全、歴史、文化、経済に関する研究事業を行い、琉球諸島並びに琉球・沖縄民族の国際的地位 向上に貢献及び寄与すること」としています。
 2010年2月、この「琉球弧の先住民族会」より人種差別撤廃委員会に参加した知念幸見は、日本政府に以下のことを 求めるとしています。
 「1.琉球・沖縄人を先住民族と承認すること。
2.琉球・沖縄語を公教育の場で教えること。
3.米軍基地の異常な集中を解決するべく、米軍基地撤去を速やかに行なうこと。
4.琉球・沖縄人の統計を取ること。」と(『今、問われる日本の人種差別撤廃』P209−10)。


2010年11月13日 玄関の門に「徳之島に基地を押しつけるな」のステッカーを加える。

 自由権規約委員会勧告や人種差別撤廃委員会勧告についての報道は、地元2紙(『沖縄タイムス』『琉球新報』)の扱い 方も普天間や辺野古など基地問題に比べると極端に少なく(ヤマトゥのマスコミは全く取り上げていない)、琉球・沖縄内 部でも先住民族の概念が定着するのは容易ではありません。それを妨げているのは沖縄人自身の同化志向である、と「琉球 弧の先住民族会」の渡名喜守太は言います。「日本人化することで種々の特権を得ようとする意識は必然的に他の弱者に対 する優越感と一体であり、それは他民族に対する差別意識として現れ、また、沖縄人をも差別の対象とし、自分自身さえも 否定する」と(「国連の先住民族権利保護勧告 下」『沖縄タイムス』2008年12月11日付)。
 しかしながら、「県外移設」と沖縄差別という思想は、沖縄の自己決定権と一体となってつながるものであり、その先に は先住民族としての権利が大きく自覚され、確認されていくことでしょう。

 

 

 

 

 

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