☆西浜さんのプロフィール☆
1944年生。1989年12月受洗。
2005年3月琉球大学大学院修士課程修了。
2009年3月大阪市立大学大学院博士課程単位取得退学。
現在、大阪市大人権問題研究センター会員ならびに共生社会研究会所属。
日本キリスト教団大阪教区沖縄交流・連帯委員会委員長


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第96 号(2013年2月)

1.オスプレイ配備の撤回を求めて、ヤマトゥ政府に『建白書』を提出

 1月27〜28日、オスプレイ配備の撤回を求めて、沖縄にある41すべての市町村長と市町村議会議長、そして県議会議員ら 約150名の要請団が上京しました。これは1972年に施政権が日本に移管されて以降、最大規模です。大阪府には43の市町 村が、奈良県には39の市町村がありますが、そのすべての市町村長と市町村議会議長が要請行動に起つということです。にわか に想像できません。それほど、沖縄の世論は、@オスプレイ配備撤回 A普天間飛行場の閉鎖・撤去、県内移設反対でまとまって います。ここには自民党も民主党もないのです。『沖縄タイムス』は、上京団に合わせて、本土(ヤマトゥ)向けに東京行動特別 版を臨時発行しました。


@ 1月27日付『沖縄タイムス』東京行動特別版

 1月27日(日)、東京・日比谷公園で4、000人の集会と銀座パレードがおこなわれました。集会では、かつて自民党県連 幹事長の要職にあった翁長雄志・那覇市長(県市長会会長)が「ハイサイ グスーヨー チューウガナビラ(みなさん、こんにち は)那覇市長の翁長雄志 ヤイビーン(でございます)。…沖縄県民は目覚めた。もう元には戻らない。日本国もどうか変わって いただきたい。…日本に復帰しても基地を押し付けられ、基本的人権は踏みにじられ、今回の欠陥機オスプレイ強行配備に、その 怒りは頂点だ。
 沖縄県民の意識は大きく変わった。基地を挟んで保守革新がいがみ合うのではなく、オール沖縄で基地の整理縮小を訴えていこ うと立ち上がった。…
 沖縄県民は基地で飯を食っているわけではない。米軍基地は経済発展の最大の阻害要因である。…
 安倍首相は日本を取り戻すと言うが、この中に沖縄は入っているのか。沖縄に今まで通り、日米同盟、日本の安全保障のほとん どを押し付けておいて、日本を取り戻すことはできない。…
 私はあらためてこう言いたい。沖縄が日本に甘えているのか。日本が沖縄に甘えているのか」と発言しました。


A 東京行動を報ずる1月28日付『沖縄タイムス』

 翌1月28日(月)、上京団は安倍首相に「大衆面談」し、『建白書』を提出しました。「建白」とは、政府に意見を申し立て ることです。もう要請の段階ではない、ひたすらお願いするのとは違った、強い意志がこもっているものです。
 「建白書」ですぐに思い出すのは「屋良建白書」です。1971年11月、当時の屋良朝苗主席は復帰の在り方に異議を唱える 建議書を持って上京しました。しかし羽田空港に到着する直前、自民党が衆院特別委員会で沖縄返還協定を強行採決、建議書は日 の目を見ないままに終わったのです。ヤマトゥ政府はこのような仕打ちを当時もしていたのです。
 以下は、「建白書」の全文です。


B 都心 響いた訴え / オスプレイ反対 寒空に拳

建 白 書 2013年1月28日

 われわれは、2012年9月9日、日米両政府による垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に対し、怒りを込めて抗 議し、その撤回を求めるため、10万余の県民が結集して「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」を開催した。
 にもかかわらず、日米両政府は、沖縄県民の総意を踏みにじり、県民大会からわずかひと月もたたない10月1日、オスプレイ を強行配備した。
 沖縄は、米軍基地の存在ゆえに幾多の基地被害をこうむり、1972年の復帰後だけでも、米軍人等の刑法犯罪件数が6千件近 くに上る。
 沖縄県民は、米軍による事件・事故、騒音被害が後を絶たない状況であることを機会あるごとに申し上げ、政府も熟知している はずである。
 とくに米軍普天間飛行場は市街地の真ん中に居座り続け、県民の生命・財産を脅かしている世界一危険な飛行場であり、日米両 政府もそのことを認識しているはずである。
 このような危険な飛行場に、開発段階から事故を繰り返し、多数にのぼる死者をだしている危険なオスプレイを配備することは 、沖縄県民に対する「差別」以外なにものでもない。現に米本国やハワイにおいては、騒音に対する住民への考慮などにより訓練 が中止されている。
 沖縄ではすでに、配備された10月から11月の2カ月間の県・市町村による監視において300件超の安全確保違反が目視さ れている。日米合意は早くも破綻していると言わざるを得ない。
 その上、普天間基地に今年7月までに米軍計画による残り12機の配備を行い、さらには2014年から2016年にかけて米 空軍嘉手納基地に特殊作戦用離着陸輸送機CV22オスプレイの配備が明らかになった。言語道断である。
 オスプレイが沖縄に配備された昨年は、いみじくも祖国日本に復帰して40年目という節目の年であった。古来琉球から息づく 歴史、文化を継承しつつも、また私たちは日本の一員としてこの国の発展を共に願ってもきた。
 この復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている。国民主権国家日本のあり方が 問われている。
 安倍晋三内閣総理大臣殿。
 沖縄の実情をいま一度見つめていただきたい。沖縄県民総意の米軍基地からの「負担軽減」を実行していただきたい。
 以下、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会、沖縄県議会、沖縄県市町村関係4団体、市町村、市町村議会の連名 において建白書を提出致します。
 1.オスプレイの配備を直ちに撤回すること。および今年7月までに配備されるとしている12機の配備を中止すること。また 嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること。
 2.米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること。


C 撤回 示した民意 / 沖縄の犠牲 終わりに

 梅田正己さんが『沖縄タイムス』2月5日付で「建白書で想起するのは、明治初期自由民権運動の『民選議院設立建白書』であ る。これが日本の民主主義の出発点だった」(「『建白』が語るもの 下」)と書いているように、「民選議院設立建白書」は、 1874年、板垣退助、後藤象二郎らが政府に対して最初に民選の議会開設を要望した建白書で、自由民権運動の端緒となった文 書です。
 安倍首相は要請団と4分間(!)だけ面接し、「みなさんの意見に耳を傾け、これからも基地負担軽減に向け頑張りたい」と思 わせぶりに語りましたが、オスプレイを撤回する考えも、辺野古移設を断念する意思もないことが明らかになりました。
 2月1日(金)、参議院の代表質問で福島瑞穂さんは「建白書が『オスプレイ配備は沖縄に対する差別である』と指摘している 」と問いただしました。これに対して、安倍首相は「配備が沖縄に対する差別だとは考えていない」と答弁しました。待ってくだ さい。差別かどうかは、差別を受けている人間が認識するものでしょう。
 安倍首相はその翌日の2月2日(土)、沖縄を訪問し仲井真知事と会談しましたが、オスプレイ配備、辺野古新基地建設を前提 にして、何度沖縄を訪問しても沖縄の民意は変わりません。

2.1月27日(日)、東京行動に連帯する集会が大阪でも開かれる。

 1月27日(日)、大阪の協同会館アソシエ・ホールで、沖縄よりヘリ基地反対協議会の安次富 浩・共同代表を迎えて「オス プレイ配備撤回!普天間基地の閉鎖・撤去!県内移設断念!関西集会」が開かれました。


D 100名を超える参加があった。

 安次富さんは講演で次のように訴えられました。
 昨年12月18日(火)、国は辺野古基地建設に関わる環境影響評価(アセスメント)の補正評価書を沖縄県に提出した。12 月27日(木)から始まった公告・縦覧が終了し、政府が辺野古沿岸埋め立ての申請をいつ提出するかも知れない段階を迎えてい る。
 これを受けて、私たちは今後埋め立て申請阻止に向けた闘いを具体的に進めて行く。@2月〜4月末まで、仲井真県政に向けて 意見書提出運動を全国的に展開する。そして防衛省が作成したデタラメな補正評価書を追求していく。A3月県議会では、野党議 員から公有水面埋め立て申請の見解を引き出す。B7月参議院選挙で勝利する。Cオスプレイ配備阻止闘争を持続し、米兵が住み にくい沖縄をつくる。大山ゲートや野嵩ゲートでの抗議行動の継続。沖縄的インディファーダーの創出をはかる。D高江ヘリパッ ド建設阻止、尖閣諸島の国有化、与那国島への自衛隊配備阻止などの反戦・反基地闘争、環境保護運動の持続化をはかる。
 ヤマトゥ政府の見解と沖縄側の主張について。@野田民主党政権の防衛大臣だった森本は、米軍普天間飛行場の移設先について 「軍事的には沖縄でなくてもよいが、政治的に考えると沖縄が最適の地域だ」と発言した。これは、在沖米軍基地は「地政学、抑 止力」から必要だという嘘である。鳩山元首相は辺野古回帰の言い訳として「抑止力」と言ったのは「方便」だったと釈明した。 Aオスプレイ配備に関する野田首相の見解は「配備自体はアメリカ政府としての基本的な方針で、それをどうこうしろという話し ではない」というものだった。対米隷従関係=国家主権の放棄を露骨に現したものだ。B尖閣諸島は「日本固有の領土」との物言 いに関して。沖縄の見解は、沖縄と台湾漁民の生活水域だ。共有水域へ、である。C仲井真知事も「日米安保条約が日本の平和と 安全に寄与しているならば、応分の負担をせよ」と言う。
 こうした沖縄の現状を安次富さんは情熱的に語られました。


E 情熱的に語る安次富 浩さん

 さて再度、大阪教区沖縄交流・連帯委員会からのアピールです。沖縄交流・連帯委員会はオスプレイ配備反対の取り組みに学び 、私たちの課題とするため、2月26日(火)に沖縄平和運動センター事務局長の山城博治さんを招いて、講演会「沖縄の怒りが 普天間基地を封鎖した」を開きます。午後6時30分より、会場は東梅田教会です。普天間、高江、辺野古、いつも最先頭に立っ てこられた山城博治さんのお話を聞くために、多数のみなさまが参集くださるよう心から呼びかけます。


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