☆西浜さんのプロフィール☆
1944年生。1989年12月受洗。
2005年3月琉球大学大学院修士課程修了。
2009年3月大阪市立大学大学院博士課程単位取得退学。
現在、大阪市大大学院共生社会研究会所属。日本平和学会、日本解放社会学会各会員。
日本キリスト教団大阪教区沖縄交流・連帯委員会委員長


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第105 号(2015年4月)

沖縄に基地を押し付けているヤマトンチュの責任として、辺野古新基地建設を絶対やめさせなけれ ばならない。

 ここヤマトゥで辺野古新基地建設を阻止する取り組みは、A.市民に広く実状を訴えるために、街宣活動、集会、デモ などをおこなうことに合わせて、B.現地・辺野古に馳せ参じて、反対行動に参加すること。C.辺野古に行きたくても行 けない場合は、自分が住んでいる場所で反対行動をくり広げること。これらが必要です。
 ぼくが委員長を務める大阪教区沖縄交流・連帯委員会や同社会委員会など8団体が呼びかけて、昨年8月に「Stop !辺野古新基地建設!大阪アクション」(以下、大阪アクションと略す)を立ち上げました。昨年7月1日、安倍内閣が 集団的自衛権の行使を決めたその閣議で、辺野古の工事開始を決定したからです。
 それ以降、大阪アクションはAについては、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動の毎週土曜日の大阪駅前での街 宣活動とともに、沖縄での県民集会に合わせて集会、デモを取り組み、Bは、継続して現地・辺野古に人を派遣しながら、 Cとして○近畿中部防衛局、○第五管区海上保安本部、○辺野古埋め立て建設工事の受注業者、この3者に対する抗議・ 申し入れ行動を重ねてきました。
 大阪アクションの呼びかけ団体も当初の8団体から15団体へと広がり、そのためぼくは自分の年齢も顧みず、猛烈な 忙しさの毎日に明け暮れています。でも連日連夜闘っている沖縄の人たちのことを思えば、このくらいのことでへこたれ るわけにはいきません。

1.1月22日(木)、2月22日(日)、3月21日(土)と沖縄に呼応し、連続して大阪同時アクションを展開する。

 @ 辺野古新基地建設に反対するキャンプ・シュワブ前での座り込みは1月22日に200日目を迎えました。この日か ら3日間、国会、県議会、市町村会の議員が座り込みをおこないました。


1月22日 デモを指揮する筆者

 1月22日(木)、中之島・水上ステージで「沖縄・辺野古の海を圧殺するな!大阪アクション」を開きました。日中 は本降りの雨だったが集会開催時には小雨模様となり、天候不順にもかかわらず250名が参加しました。
 アピールは辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動から、明日再度辺野古に向かう方が「前回生まれて初めて沖縄を訪 れ、辺野古の闘いに参加し11月16日の知事選の勝利を確認してから帰って来た。ところが帰ってから海保、県警の弾圧 が強まっている。悔しくてならない。残してきたものがあるので再度辺野古へ行く」と発言しました。また今回新たに呼び かけ団体に加わった神戸行動からは5〜6名が登壇し、ギターの演奏を披露しました。呼びかけたカンパは実に73,04 4円集まりました。デモ出発時にはほとんど雨も止み、西梅田公園まで力強くシュプレヒコールを繰り返し我々の意思を明 らかにし、道行く人々にともに闘うよう訴えました。
 A 沖縄では2月22日(日)、キャンプ・シュワブゲート前で「止めよう辺野古新基地建設!県民集会」が開かれ、2, 800人が参加しました。この日の朝、沖縄平和運動センター議長の山城博治さんが不当逮捕されたのでした。


2月22日 We shall overcomeの横断幕

 この県民集会に呼応して、大阪でも集会&デモをおこないましたが、この日 の模様を2月23日付『琉球新報』は次のように報じました。

 大阪と京都でも抗議集会や行進/「青い色」で沖縄と連携  新基地建設に抗議する県民集会が行われた22日、大阪府など県外でも抗議集会が開かれた。  大阪市の中之島公園では集会「沖縄県民集会に呼応する同時アクション」(主催・Stop!辺野古新基地建設! 大阪アクション)が行われ、約250人が参加した。辺野古の青い海を意識して、参加者は青い服や帽子などを身に 着けた。約1時間のデモ行進を行い、在大阪米国総領事館前などで抗議の声を上げた。
 参加した西浜楢和さん(70)は「どれだけ沖縄を差別するのか。これまでの選挙で民意ははっきりしているはず だ。(県外の人間として)贖罪の意識がある」と沖縄の集会参加者と気持ちを一つにした。

 B 続いて3月21日(土)、沖縄では瀬嵩の浜で県民集会が開かれ、3,900人が参加。初めて県より安慶田副 知事が参加し「知事が近いうちに必ず最大の決意、決断をする時期が来る」と発言しました。


3月21日 デモを指揮する筆者

 この県民集会に呼応して、大阪でも集会&デモをおこないましたが、この日の模様を3月22日付『沖縄タイムス』 は次のように報じました。

 大阪で反対集会 民意無視に抗議/参加者200人辺野古の新基地建設に反対する集会(主催・Stop!辺野古 新基地建設!  大阪アクション)が21日、大阪市の西梅田公園であった。参加者約200人が大阪市役所までの 約2キロを歩きながら、「民意を無視した工事の強行は許さない」と声を上げた。
 集会は昨年8月から始まり、今回5回目で15の市民団体が集まって実施した。
 主催者の西浜楢和さん(71)は「工事を止めるのは本土の人の責任でもあることを自覚しないといけない」と通 行人にアピールした。

2.2月19日(木)、近畿中部防衛局へ第13次となる署名を提出。

 2月19日(木)、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動が毎週土曜日に大阪駅前で集めた署名を近畿中部防 衛局へ提出しました。今回が第13次の署名提出となり、3,355筆(累計59,786筆に上ります)を手渡し ました。第1次の署名提出は2005年1月20日のことです。要請項目は、○辺野古への新たな基地建設を中止す ること。○米軍・普天間基地を即時無条件全面返還すること。の2点です。


2月19日 第13次署名提出行動

 25名を超える参加者からは次々と「工事が強行されてから署名がどんどん増えている」「新基地建設反対の沖縄 の民意を受け止めよ」「基地建設反対が多数であるのにその意見を聞こうとしない。これが民主主義国家か」「これ までにも何度も質問しているがまともな回答がない。上に伝えて答えがないのなら、何度も聞くべきだ」との発言が 続きました。
 現在、近畿中部防衛局からの回答を待っている段階です。

3.第五管区海上保安本部への抗議・申し入れ行動

 国土交通省の傘下にある海上保安庁には第一から第十一までの管区本部があり、沖縄は第十一管区、ここ関西は第 五管区の管轄です。神戸・元町にある第五管区海上保安本部(以下、五管と略す)に、2月12日(木)と3月12 日(木)の2回、抗議・申し入れに訪れました。2月12日に提出した「要請書」の要旨は次の通りです。


2月12日 「要請書」を読み上げる。

 1.海上保安庁による辺野古・大浦湾での市民に対する暴力行為を、ただちに中止して下さい。  2.すでに行われた暴力行為に関して事実の確認を行い、被害者に謝罪して下さい。  3.辺野古・大浦湾で行われている市民の工事抗議・阻止行動に対する、海上保安庁の妨害行動の、法的根拠を示 して下さい。
 海上保安庁(第十一管区)は、沖縄県民の意思を踏みにじった工事強行に抗議する市民の行動に対して、暴力によ る妨害を続けています。すでに複数の負傷者が出ており、海上保安官に対する告訴も行われています。1月26日、 翁長県知事は第十一管区海上保安本部を県庁に呼び、異例の「市民の安全確保」要請をしました。海上保安庁による 暴力行為を即時中止して下さい。
 また私たちは、すでに行われた暴力行為に関する事実の確認と被害者に対する謝罪を要求します。
 新聞報道等であきらかな事例をあげると、1月29日 航行中の抗議船に保安官が乗り込み操舵を奪い、船長に「 座れ!」と強要した。ポストにつかまって抵抗する船長の指をこじ開け、全治2週間の捻挫をさせた。「名前を名乗 れ」と要求する船長に対して、海上保安官は「海保太郎だ」と答えた。1月30日 抗議のカヌー隊1名から海上保 安官がパドルを奪い放り投げた。カヌー隊員は「パドルを取ってくれ」と要求したが応じなかった。その場で抗議を おこなったが、謝罪はない。2月2日、抗議のカヌー隊8名に対し、飛び乗る、転覆させる、海水を飲ませるなどの 暴力行為でGB(ゴムボート)に拘束した。リーフ外沖合4kmまで運んだのち、GBから降りることを強要し、海上 に放置した。
 これらは、ほんの一例ですが、いずれも市民の生命を脅かすものです。断じて許せません。事実確認をあいまいに することは、人命軽視そのものです。
 海上保安庁法第18条によれば、海上保安官が、船舶の航路の変更、指定した場所への移動、進行の開始、停止な どを強制できるのは「海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、 危険物の爆発等危険な事態がある場合であって、人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶ おそれがあり、かつ、急を要するとき」です。海上保安庁は抗議船やカヌーを海上保安庁法第18条に該当すると考 えているのでしょうか。

交渉には参加者全員が同席すると伝え、庁舎内には入れる部屋がないとのことで庁舎の外での申し入れ行動となりま した。まず「要請書」を読み上げ、辺野古で海保が行なっている暴力について問い質し、抗議の意を伝えました。
 「辺野古へは全国動員で五管からも行っているのか?」との質問に対して「東京のほうでハンドリングしてやって います」と答えたものの、何人行っているのかについては「具体的なことはお答えできない」との態度です。「辺野 古でおこなっている暴力行為は個々の保安官の意思ではなく、海上保安庁全体の意思でやっているのか」との追及に は「そのような事実関係の報告は受けていません」と逃げましたが、「事実関係を把握した上で」との回答を引き出 しました。最終的に「要請書に関しては事実関係を含めて改めてお答えします」とのことで、この日の申し入れ行動 は終了しました。
 3月12日(木)の抗議・申し入れ行動では具体的な進展はありませんでした。


3月21日 第五管区海上保安本部前抗議行動

4.辺野古埋め立て建設工事の受注業者・大成建設への抗議・申し入れ行動

 辺野古の埋め立て工事を請け負っている会社の一つに大成建設があります。大成建設関西支店への抗議・申し入れ 行動を2月4日(水)と3月17日(火)におこないました。東京の「Stop!辺野古埋め立てキャンペーン」の大成 建設抗議全国同時アクションに連動して取り組んだものです。

 大成建設は1873(M6)年創業、資本金1,227億円、従業員数7,951名を擁するスーパーゼネコン5 社(鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店、大林組)の一角を占める会社です。社名の「大成」の由来は創業 者・大倉喜八郎の戒名「大成院殿…」が語源となっているというのですから、大時代的です。
 会社の環境方針には「人がいきいきとする環境を創造する…理念のもと、…環境配慮型社会の形成をめざし、…全て の企業活動において、環境の保全と創造に努め、先駆的な環境事業を推進していく」とあります。その方針を受けて 「大成建設生物多様性宣言」も発していて、5項目の宣言の2には「生物多様性を保全・創出する環境技術力を向上 させ、その成果をもって顧客と共に、生態系サービスの持続的な利用を図ります」と、5には「地域社会とのコミュ ニケーションを図り、国内外のNGO・NPOと協力し、生物多様性の保全活動を積極的に行い、成果を公表します」 と謳っています。このような理念を持つ会社が、今、辺野古の自然を破壊しているのです。ジュゴンの住む海を破壊 しているのです。


2月4日 大成建設前抗議行動

 2月4日に提出した「要請書」の要旨は次の通りです。  貴大成建設株式会社はHP上で、社長自ら「自然との調和を大切にしながらより豊かな未来を築くこと、それが私 たち、社会共通の願いです」とその理念を明らかにしています。
 私たちは、より豊かな未来を築くためにも、戦争のための基地を作ることは許しません。米軍はアジアや中東を侵 略するために「新基地」が欲しいのです。それは「豊かな未来」とはかけ離れたものです。
 また受注金額60億円というのは、私たち、普通の市民が納めている税金から拠出されているお金です。私たち納 税者は、税金がどの様に使われているのか知る権利があります。貴社には仮設工事という抽象的な受注案件の内容を きちんと市民に対し、説明する義務があります。命豊かな海に、フロート設置のためのトンブロックを投入すること は自然破壊です。幅25m長さ300mの仮設桟橋設置も御社が請け負っているのでしょうか、明らかにしてください。 そして御社が請け負っているなら、即時中止して下さい。

この日、申し入れようとした時、大成建設の社員2人が現れ「中に入るのは2人まで」と言ってきました。しかし、 アポを取った時に大阪アクションは12の呼びかけ団体で構成しているので、各団体から一名ずつ参加しても12名 になると伝えてあり、結局6〜7人が社内に入りました。入ったといっても会議室に通されたわけではなく、エント ランスの片隅にパーティションで囲われたスペースが用意され、その中で立ったまま対応するというのです。
 まずこの対応に抗議した後、「要請書」を読み上げ主旨を伝えたところ、大成建設側は、ただただ「お話は承りま した」しかし「お答えする立場にはございません」を繰り返すのみです。「あなたが回答できないのなら、誰なら回 答できるのか?」と聞いても「お話は承りましたが、お答えする立場にはございません」。「会社として答えること ができないのか、それとも答えないのか?」と聞いても「お話は承りましたが、お答えする立場にはございません」。 この一辺倒です。「仕事を受注するのは大成建設の判断ですることだから、お答えする立場にあるだろう」と言って も「お話は承りましたが、お答えする立場にはございません」。「マンション建設の際に地域住民に説明とかしない のか、辺野古新基地建設はそれよりも大きく、社会的な問題だ」と言っても「お話は承りましたが、お答えする立場 にはございません」。こちらが名刺を渡しているのに、なぜ名刺を出さないのかと言えば、だんまり。
 と、どうしようもない、最悪の対応しかできない大成建設でした。
 3月17日は、交渉しても不毛なので午後4時30分より関西支店前で抗議集会をおこない、道行く人々にチラシ を配り、大成建設を糾弾しました。


3月17日 大成建設前抗議集会

5.ヤマトゥで生きる者(ヤマトンチュ)の責任として。

 以上、この間の経過を報告しましたが、目に見えるような成果を挙げた事象はありません。辺野古の工事を中止さ せるには至っていません。しかしながら、ヤマトゥで生きる者(ヤマトンチュウ)の責任として、これ以上の基地負 担を沖縄に押し付ける訳にはいきません。ヤマトゥが応分の負担をせねばなりません。押しとどめることのできない この想いを、ぼくはこれからも行動に移していく決意です。

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