☆西浜さんのプロフィール☆
1989年12月受洗。
2005年3月琉球大学大学院修士課程修了。
2009年3月大阪市立大学大学院博士課程単位取得退学。
現在、Stop!辺野古新基地建設!大阪アクション共同代表、日本平和学会、日本解放社会学会各会員。
日本キリスト教団大阪教区沖縄交流・連帯委員会書記


☆沖縄通信のご感想・ご意見はこちらまで☆

第120 号(2017年1月)

沖縄2016年十大ニュースと流行語大賞

 『沖縄タイムス』は、12月25日に2016年十大ニュースを、同月30日に読者から公募した流行語大賞を、それぞれ 発表した。以下がその順位である。

 

十 大 ニ ュ ー ス

流 行 語 大 賞

1位 

元米兵事件県民大会

「土人」「シナ人」発言

2位

オスプレイ墜落

オスプレイ墜落?不時着?

3位

子どもの貧困 支援拡大

感謝されるべきだ

4位

辺野古訴訟 最高裁で県敗訴

世界のウチナーンチュ

5位

機動隊員が「土人」発言

子どもの貧困

6位

沖縄島で初の降雪

不当弾圧

7位

東京五輪に空手競技追加

雪観測

8位

世界のウチナーンチュ集う

のあちゃん・ひまりちゃんを救え

9位

世界最古の釣り針発見

Bリーグ開幕(GO!GO!キングス)

10位

心臓移植に支援の輪

ブラック労働

(太字は両方にランクされている)

 十大ニュース上位五つに米軍基地関連が四つを占め、過重な基地負担に苦しむ沖縄の現実を浮き彫りにして いる。流行語大賞には「『土人』『シナ人』発言」が決まった。発言は機動隊員個人の問題ではなく、琉球併 合(琉球処分)からつながるヤマトゥ(本土)の沖縄への差別意識が露骨に出た言葉として批判が集中した。 投票総数の実に55.2%を占めた。
 以下、『沖縄タイムス』の記事を紹介しながら記す。なお、特に断りのない限り2016年のことである。

1位 米軍属事件 6万5,000人抗議
 沖縄島中部の会社員の女性(当時20歳)を暴行、殺害し、恩納村内の草むらに遺棄したとして、沖縄に駐留 経験のある元・海兵隊員で、与那原町に住む米軍属の被告が5月に逮捕され、その後、死体遺棄と殺人、強姦致 死の罪で起訴された。県警の聴取に「後ろから頭を棒で殴り、車に連れ込んだ」と話し、供述通りに遺体が見 つかった。


6月19日、被害者の冥福を祈り、黙とうする県民大会参加者
  写真提供:沖縄タイムス

 被告は嘉手納基地内の民間企業で働いていたが、米軍関係者の特権を認める日米地位協定の対象だった。基 地がある故の事件に県民の怒りが噴出した。県議会は5月26日、事件に抗議する決議を自民会派が退席する中、 全会一致で可決。初めて「在沖海兵隊の撤退」を求める内容を盛り込んだ。
 6月19日、「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」が開 かれ、6万5,000人が集まった。翁長知事は「ワッターウチナーンチュヌ、クヮンウマガ、マムティイチャビラ、 チバラナヤーサイ(私たちウチナーンチュの子や孫を守るためがんばろう)」と呼びかけた。
 『沖縄通信』116号(2016年6月)で、ぼくは次のように書いた。

 (前略)4月28日、容疑者はウォーキング中の彼女を襲ったのです。「暴行目的で背後から近づき、殺意を 持って棒で殴り、草むらに連れ込んだ上、首を絞めて刃物で刺す」(『沖縄タイムス』6月10日付)という行 為は、まさしく海兵隊員が日々繰り返している訓練内容です。元海兵隊員の容疑者は基地の内で受けていた訓 練通りの行為を基地の外で実行したのです。
 いま、沖縄は深いかなしみと怒りの中にあります。「綱紀粛正と再発防止」を何回も何十回も何百回も聞い てきたが、何らの効果もありません。(中略)事件・事故の防止にはもはや「米軍基地の撤去しかない」との 世論が今、沖縄中に湧き起こっています。一人ひとりの人間の安全を守れずして、何が安全保障なのでしょう か?(中略)
 6月19日の…県民大会で、21歳の大学生は「同じ世代の女性の命が奪われる。もしかしたら、私だったかもし れない。私の友人だったかもしれない。信頼している社会に裏切られる。何かわからないものが私をつぶそう としている感覚は、絶対に忘れません。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の『第二の加害者』は、あ なたたちです。しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで私たち沖縄県民は、ばかにされるので しょうか」と訴えました。(中略)
 6月19日の県民大会を報じた6月20日付『沖縄タイムス』は、「哀悼のあとに/理不尽な現実変えよう」と題し た「社説」に「『これを最後に』との思いが強くにじみでた大会は、県民の心の奥底で大きな変化が起きている ことを印象づけた。静かに、しかし確実に沖縄社会の内部で地殻変動が起きている」と記しています。
 「本土」に住む日本人の私たち(ヤマトンチュ)は、沖縄の人びと(ウチナーンチュ)の“心の奥底の大きな 変化”を受けとめ、“沖縄社会の内部で地殻変動が起きている”ことを知る必要があります。そうでなければ「 本土」と沖縄の間に横たわる壁を壊すことはできません。ボードに「ヤマトンチュの無関心に怒りは限界を超え た」と書かせる前に、変わらなければならないのは、ほかでもない「本土」に住む私たち自身です。(後略)

2位 オスプレイ墜落
 (流行語大賞2位:オスプレイ墜落?不時着?)
 (流行語大賞3位:感謝されるべきだ)


12月13日、名護市安部の海岸に墜落し、大破したオスプレイ
写真提供:沖縄タイムス

 12月13日午後9時30分ごろ、名護市安部の海岸に米軍普天間飛行場所属のオスプレイ1機が墜落した。機体は 大破し、乗組員5人のうち2人がけがをした。国内への配備後、初めての負傷者が出た重大事故で、オスプレイ 配備に反対してきたウチナーンチュの間に衝撃が広がった。
 事故を受け、翁長知事は即時飛行停止と配備撤回を要求。日本政府も原因究明や安全が確認されるまでの飛 行停止を求めた。しかし、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官は民間地を避けたパイロットの判断を称賛 し、感謝されるべきだと発言。給油訓練でのトラブルが原因で、機体そのものには問題がないと強調した。


12月22日、オスプレイ墜落糾弾!県民大会同時アクション
上段:アメリカ領事館前 下段:アピールする筆者

 県が飛行停止を求める中、米軍は事故から6日後の同月19日、全面的に飛行を再開した。県は強く反発したが、 日本政府は米側の説明に「合理性が認められる」(稲田防衛相)と容認した。さらに、墜落機と給油訓練をして いた別の機も同じ日の13日夜に普天間飛行場に胴体着陸したが、県には連絡がなかった。同月19日には嘉手納基 地内でP8A対潜哨戒機が前輪などを破損する重大事故を起こした。

3位 子の貧困 支援拡大
 (流行語大賞5位:子どもの貧困)
 「子どもの貧困」がクローズアップされた1年だった。県は1月、沖縄の子ども貧困率が29.9%と発表。都道府 県として初めての調査で、全国の16.3%を2倍近く上回る深刻な状況、18歳以下の3人に1人が貧困状態で暮らして いる実態が明らかになった。ひとり親世帯の貧困率は58.9%で、さらに厳しい数字となっている。
 内閣府は2016年度、緊急対策で10億円の予算を計上した。県は「子どもの貧困対策元(マ)年(マ)」と宣言し、 11月には「子ども未来政策課」を新設。国、県、市町村が連携し、子どもの居場所づくりや支援員配置に取り組 んでいる。
 県民運動を担う「沖縄子どもの未来県民会議」が知事を会長に発足。2030年までに子どもの貧困率を10%まで 減らす目標を掲げる。企業や個人からの寄付を活用し、児童養護施設などから進学を目指す高校3年生に給付型 奨学金を支給する事業などに取り組む。
 ボーダーインク編集者の喜納えりか(41)は、次のように語る。

 悪意はどこまでも広がるが、善意の声はすぐにかき消されてしまう。抵抗するためには小さき者、声なき者の 声に耳を澄ませて聞き取らなければならない。
 (流行語大賞で)子どもの貧困(5位)、のあちゃん・ひまりちゃんを救え(8位)がランクインしたことは、 そうした意味でも価値が高いはずだ。
 (「善意に耳澄まそう」『沖縄タイムス』12月30日付)

4位 辺野古訴訟 県が敗訴
 (流行語大賞12位:違法確認訴訟)
 辺野古の新基地建設を巡って、2015年10月に翁長知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した。国は翁長 知事の取り消し処分を違法と批判。石井国土交通相は同年11月、翁長知事を相手に処分の取り消しを求める代執 行訴訟を起こした。
 第1回口頭弁論は同年12月に福岡高裁那覇支部で開かれ、多見谷裁判長は1月の第3回弁論で和解を勧告した。国 は和解成立後の3月、取り消し処分の取り消しを求める是正の指示を出した。
 翁長知事は指示を不服として国地方係争処理委員会に審査を申し出たが、係争委は「あるべき国と地方の関係 から乖離している」として是正指示の適法性を判断しなかった。
 国側は7月に県を再度提訴し(違法確認訴訟)、高裁那覇支部の多見谷裁判長は9月、「取り消し処分は違法」 と判決した。県側は上告したが、最高裁は12月20日、県側の上告受理申し立ての訴えを棄却、県の敗訴が確定し た。

5位 機動隊員が「土人」発言
 (流行語大賞1位:「土人」「シナ人」発言)
 (流行語大賞6位:不当弾圧)
 高江の米軍北部訓練場周辺で10月18日、大阪府警から派遣されている機動隊員が、工事に抗議する市民に対し 「触るな、クソ!どこつかんどんじゃ、ボケ、土人が!」「黙れ!こら、シナ人!」などと発言した。
 この問題は機動隊個人の問題ではなく、琉球併合(琉球処分)からつながるヤマトゥ(本土)の沖縄への差別 意識が露骨に出た言葉として批判が集中。府警は発言から3日後の21日、20代の男性巡査部長と巡査長をいずれも 戒告の懲戒処分とした。
 一方で、府警を所轄する立場の松井大阪府知事は、自身のツイッターに「表現が不適切だとしても、大阪府警 の警官が一所懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかった。出張ご苦労さま」などと投稿した。
 鶴保沖縄担当相は参院内閣委員会で「(土人発言が)差別であると断じることは到底できない」と述べた。両 者の対応に沖縄から批判の声が相次いだ。
 米軍北部訓練場の過半4千ヘクタールは、返還条件のヘリパッド完成に伴い12月22日に日本側に返還された。同 日、名護市内で政府主催の返還式が開かれたが、翁長知事は欠席した。
 作家・沖縄大学客員教授の仲村清司(58)は、次のように語る。

 機動隊員による「土人」「シナ人」発言、オスプレイ墜落に伴うニコルソン4軍調整官の「感謝されるべきだ 」発言の根底には差別がある。
 構造的差別では語るに足りない、もうひとつの差別が浮き彫りになった1年だった。国家の仕組みが構造的差 別だとすると、人が人を見下す民族的差別が表出した。日本政府と沖縄、本土と沖縄の溝が深まった。ここまで 言われるのかと想像もしていなかった言葉に、衝撃を受けた結果が(流行語大賞の)得票に反映されたのだろう。 (「沖縄の窮状表れた」『沖縄タイムス』12月30日付)

前述の喜納えりかは、次のように語る。

 投げつけられた侮蔑の言葉が、今年を象徴するものとして選ばれた。まずはそのことを忘れずにおきたいと思 う。発言そのものだけではなく、かろうじて保ってきた建前が崩壊したという衝撃も反映されたのだろう。振り 返ってみると、つくづくそんな年だった。
 (「善意に耳澄まそう」『沖縄タイムス』12月30日付)

『沖縄通信』119号(2016年12月)で、ぼくは次のように書いた。

 (前略)琉球・沖縄人は日本国(民)に組み込まれているが、日本(ヤマトゥ)民族ではない先住民族である。 琉球民族が日本国(民)に組み込まれたのは1899年制定の旧国籍法からである。ところが日本国民にもなってい ない1899年の1年前の1898年に琉球・沖縄人は日本国家に徴兵されている事実がある。
 「先住民の権利を主張すると、全国から沖縄県民は日本人ではないマ イノリティーとみなされ」、「差別を 呼びこむ」との豊見城市議会の意見書は本末転倒もはなはだしい代物である。“我々は先住民族たる琉球民族で はなく、れっきとした日本人(日本民族)だから差別しないでくれ”ではなくて、“我々は先住民族たる琉球民 族である。先住民族が故に差別することはおかしい、許さない”と宣言すべきなのだ。(中略)
 恵隆之介が「土人」「シナ人」差別発言について、<昨年、翁長知事は国連人権委員会で「沖縄人は先住民、 自決権を尊重せよ」と自己差別的発言をしました。要するに自らを一種の「土人」とアピールしたのです。今度 は大阪府警の機動隊員が基地反対派左翼に「土人」と発言しただけで「差別」ですって?>と投稿しているが、 先住民族に対する侮蔑的な差別発言として糾弾しなければ、こうした発言にかすめ取られ、日本(ヤマトゥ)民 族に同化を迫られることになるであろう。
 こうした筆者の見解に首尾よく表現した記事が、『沖縄タイムス』12月14日付に掲載された。それは12月3日に 開かれた琉球民族独立総合研究学会主催のシンポジウム「高江、辺野古問題、『土人・シナ人』発言問題から考 える琉球独立」での親川志奈子さんの発言を報じたものである。即ち、
 琉球大学大学院の親川志奈子氏は、「土人」という差別的な表現への怒りとともに「私たちは土人ではない」 という反応も多かったとして「これでいいのかと大変違和感を覚えた」と問題提起。
 人類館事件などを例にしながら「この痛みや怒りと正しく向き合わなければ『土人と一緒にするな』と差別さ れる存在を前提としたまま、逆に私たちも差別者になる。日本人に同化しなければ差別されてしまうという心理 は、悲しいまでの被植民者の精神の表れだ」と問題視した。
 というもので、核心をつく発言であるといえよう。

6位 沖縄島に初の雪
 (流行語大賞7位:雪観測)


1月24日、山荘にテラスに積もったみぞれ
写真提供:沖縄タイムス

 強い寒気が流れ込んだ1月24日、名護市と久米島でみぞれを観測。みぞれは分類上、雪に含まれており、久米 島では1977年2月17日以来39年ぶり、沖縄島では初めて降雪を観測した。
 春に終息したエルニーニョ現象の影響で、台風1号の発生が7月3日と、1951年以降では1998年7月9日に次いで、 過去2番目に遅い発生だった。
 台風の発生が遅かったこともあり、夏場は海水温が上昇した。
 国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」では白化現象が進み、環境省の9〜10月の調査の結果、5割をこえるサンゴ が死滅したことが分かった。

7位 東京五輪で空手競技
 国際オリンピック委員会(IOC)は8月、2020東京五輪の追加種目として、沖縄発祥とされる「空手」競技を 承認した。翁長知事は「空手の魅力をさらに世界に広め、一層の普及・発展につながる大変意義深いもの」と メッセージを寄せた。
 10月の空手世界選手権男子団体形では、日本代表の喜友名 諒、金城 新、上村拓也の県勢トリオが金メダル に輝いた。
 ところで、沖縄タイムス社は創立35周年を記念して、1983年に『沖縄大百科事典』を発刊した。これには17, 000項目が選抜され、一千余人の研究者が執筆した、現在に至るも最上の沖縄に関する百科事典である。その「 空手」欄を見ると、4ページに亘って説明がされている。破格の扱いである。これを見ても沖縄において「空手 」が格別の地位を占めていることが分かる。
 内容は、[発生と歴史]、[形(型)]、[技法]、[空手の形(型)]、[鍛練法]、[試合法]、[現状と課題]の7項 目におよび、これを6人が執筆している。簡単に紹介する。

 空手 からて 武器を一切用いず、徒手空拳(くうけん)のみで護身をはかる武道。 <空手に先手なし>に象 徴されるように、心技両面において先手非道を説くが、一方では破邪顕正の実践を行動美学とする。完全防御・ 一撃必殺を守攻両面において絶対化する技術的極限性をもち、技法の修得にあたっては実戦即応的な状況をたえ ず想定し、必死の覚悟をもつことを要諦とする。そういう技術的修練の過程を通ることにより、人格が陶冶され るということで、<道>の概念が強調される。<技術が精神をうむ道程>という意味で、<空手道>とよばれる ようになった。/
 空手が沖縄で顕著に発達する時代的背景は、尚真王(1477〜1526)の中央集権化と、1609年の薩摩の琉球侵略 にともなって実施された、2度にわたる禁武政策であるといわれる。これは、従来までの空手発達史の定説とな っているが、確証はない。/
 空手の名称は、手⇒組合術⇒拳法⇒唐手(トーデイー)⇒唐手(からて)⇒空手⇒空手道と変遷するが、空手と一 般的に称されるのは、本土では1929年ごろ、沖縄では1936年ごろのことである。/
 1905年には、中学校の教師たちの研究をへて、体操科に空手が正課となった。


10月23日、国際通りを埋め尽くす参加者で一斉に「普及形T」を演武し、 ギネス記録を達成した。
写真提供:沖縄タイムス

 ベストテン7位に拍車をかける出来事を2017年1月17日付の『沖縄タイムス』が報じている。それによると、海 外40以上の国・地域からの参加者を目指して「第1回沖縄空手国際大会」を2018年8月1日〜8日に県立武道館、沖 縄空手会館で開催する。大会実行委員会の会長には翁長知事が就任した。ぼくはこの記事によって、空手振興課 というセクションが県庁にあることを知った。まさしく空手は沖縄の文化の中で確固たる地位を占めていること が、ここからも見てとれる。

8位 世界のウチナーンチュ集う
 (流行語大賞4位:世界のウチナーンチュ)


10月26日、世界ウチナーンチュ大会にブラジルからの参加者
写真提供:沖縄タイムス

 「第6回世界のウチナーンチュ大会」が10月26日から30日まで、沖縄セルラースタジアム那覇をメイン会場に 開催された。26ヶ国・2地域から過去最多の7,297人の海外参加者を記録。東京など県外の県人会を含めた国内 参加も598人に上った。
 1世にとっては古里、2世以降のウチナーンチュたちにとってはルーツの地・沖縄で交流を深め、絆とアイデ ンティティーを確かめ合った。
 大会最終日の10月30日を「世界のウチナーンチュの日」として制定。2017年以降、沖縄ネットワークの継承 発展につながる取り組みが県内外でおこなわれる予定。
 プレイベントでは「第5回世界若者ウチナーンチュ大会」が10月20日から23日まで沖縄初開催。海外から過去 最多の約100人、期間中に延べ約2千人が参加した。
 それ故、10月18日の「土人」発言は世界から集まったウチナーンチュの知るところとなったのである。
 前述の仲村清司は、次のように語る。

 明るいのは、(流行語大賞)4位の「世界のウチナーンチュ」だ。ウチナーンチュ大会は基地問題が緊迫して いる中での開催で、大きな意味のある大会になった。3世、4世が沖縄の歴史や置かれている状況を知り、沖縄 で暮らす人と互いに学び合う。沖縄の未来につながる言葉だと思う。
 (「沖縄の窮状表れた」『沖縄タイムス』12月30日付)

9位 世界最古の釣り針発見
 9月19日、県立博物館・美術館が、南城市玉城前川のサキタリ洞遺跡で世界最古となる約2万3千年前の貝製 釣り針が発見されたことを発表した。
 また、同月26日には、うるま市の勝連城跡発掘調査で、ローマ帝国とオスマン帝国の金属製の貨幣計5点の 出土が発表された。

10位 希羽(のあ)・陽茉莉(ひまり)ちゃん 支援の輪
 (流行語大賞8位:のあちゃん・ひまりちゃんを救え)
 2015年12月22日に重い心臓病のため、アメリカでの心臓移植手術が必要だった翁長希羽ちゃん(2)と、森 川陽茉莉ちゃん(1)を救おうと、県内を中心に計7億円以上の寄付が集まった。2人とも手術を乗り越え、元 気な姿を見せようと合併症などと懸命に闘い続けている。

 一方、ヤマトゥの中央メディアの一つである『読売新聞』は、読者の投票で選んだ十大ニュースを12月23日 付に掲載した。以下が順位である。
1位  熊本地震、50人死亡
2位  都知事に小池氏
3位  リオ五輪 メダル41個
4位  天皇陛下 退位の意向示唆
5位  米大統領が広島訪問
6位  大隅さん ノーベル賞
7位  北海道新幹線 開業
8位  障がい者施設 19人刺殺
9位  18歳選挙権施行
10位 「ポケモンGO」日本で配信開始
 沖縄の十大ニュースがいかにローカル版とはいえ、元米兵によるレイプ殺人やオスプレイ墜落、辺野古新基 地建設それにともなう最高裁判決、「土人」「シナ人」発言などは、沖縄(で)起こった問題であっても、沖 縄(だけ)の問題ではない、日本全体の問題である。
その事実をヤマトンチュは知らないのか、知念ウシ流に言えば、知らないふりをしているのか、この落差には 目がくらみ絶句してしまう。

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system